日本人の「甘え」の概念と西欧

「甘え」と社会科学、大塚久雄、川島武宜、土居健郎、弘文堂、昭和51年発行(1976年)
大塚久雄68歳か9歳くらいの時の対談である。まだICUの先生をやっていたと思われる。この本を読むと、マックス・ウェーバーという人がどれほど広く深く学問してきたかという事がよくわかる。汲めども尽きぬ泉のごとくとはこの人のことを言うのではないか。特に、甘えとウェーバーの使うピエテート(恭順)が認識的に近いという事を語っているが、このピエテートという概念をウェーバー研究者はあまり理解していない、という。



またこの本については、大塚久雄著作集12巻に収録されているが、全部ではなく、大塚久雄が語ったところを抜粋しているので、ちょっと全容がつかみずらいのではないか。日本の個性、日本の特殊な(各国の個性がある)歴史や民衆の考え方を理解するにはこのピエテートと甘えの概念を架橋して使う考え方が必要なことを縷々述べていて迫力があり新しい学問の生成の現場にいるような気がしてくる。特に土居ー大塚ウェーバー理論で出したらどうかなどと大真面目に言っている処は面白いしこの部分だけでももっと発展させてほしかったと思う。このテーマは家族共同体の中からピエテート概念が出てきて、それが発展していくと権威と支配となりそれが権力となるという展開がその後に待っているので、我々の支配権力という問題を考えるには、基本的概念となるようにも思える。
日本では細々とかどうかは分からないが、日本の家族の分析に使われているようだ。

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